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トルコの政策金利は24.0%です。なぜそんなに金利が高いのか、それを知るためにはトルコの近代史を知ることが理解の助けになります。

今回は簡単にトルコの近代史の解説をしてみました。静かなブームが続くトルコリラ投資ですが、年利24.0%の政策金利の背景も知った上で、リスクもしっかりと理解して行うべきと考えます。

トルコリラに投資するなら知っておきたいトルコの近代史

赤字が続いていたトレイダーズHD<8704>の黒字化の原動力となったトルコリラのスワップ投資。日本人は金利狙いのホッタラカシ投資が好きなのは今に始まったことではありません。けどトルコリラの投資って、そんなにブームになるものなのか、と少々驚き。

関連記事:トルコリラのスワップ投資人気でみんなのFXのトレイダーズHDが黒字化

確かに政策金利24.0%のトルコは、その通貨のトルコリラを持つことで高い金利収入を得ることができます。また親日国として知られているトルコは、何となく日本人としては親近感を抱く国でもあります。

2018年8月のトルコリラショックがあっても、それでも人気のトルコリラ投資。もしするなら、トルコの近代史を知っておくと、もっとトルコリラ投資をリアリティを持って行えるのではないでしょうか。


・トルコリラに投資するなら、トルコの近代史を知っておくと面白い

第一次世界大戦後から近代トルコ史はスタート

近代トルコ史は第一次世界大戦後から始まります。第一次世界大戦の敗戦国となったトルコは、オスマントルコのスルタンが退位し、更には国の分割の危機に見舞われます。

そんなトルコの危機に現れたのが軍人のムスタファ・ケマル(ムスタファ・ケマル・アタテュルク)、近代トルコの英雄です。ムスタファ・ケマルは領土獲得のために攻め込んできたギリシャ軍を撃退。そしてその成功をもって、戦勝国との条約(ローザンヌ条約→セーヴル条約)を再交渉し国の分割の危機を回避します(相当はしょってます)。

そしてその後トルコはムスタファ・ケマルの下で国家再建の道を歩むことになります。

世俗主義を徹底してイスラム国ながら独特の国家に

オスマン・トルコ時代のトルコはイスラム国として、イスラム法に基づいた国家運営がなされてきました。生活のルールもイスラム法ベース。

ムスタファ・ケマルはイスラム法に基づく国家運営が国の近代化の妨げと判断し、いわゆる世俗主義を徹底します。その昔のフランス革命同様、宗教と国家のルールは別々という考えの下、政府の近代化を進めます。当然、それまでイスラム法やイスラム教ベースで物事を進めていたので、大きな抵抗を招きます。しかしそこは救国の英雄ケマル・アタテュルク、力技も使いながら世俗主義を導入し、トルコはイスラム国ながら欧米型の民主主義国家としての道を歩み始めます。

軍が世俗主義の守護人を自認

近代トルコでは、軍が世俗主義の守護人を自認しています(していました?)。軍人出身の英雄ムスタファ・ケマルによる国家近代化・民主化政策の下、軍は世俗主義の守護人としての役割を担うことになります。

またトルコはアメリカとの同盟を結び、トルコ軍とアメリカ軍は関係を強めます。軍が欧米型民主主義を守るという近代トルコのベースは、トルコの近代を語る上で欠かすことのできない視点です。

実はその後、1990年台にトルコはドイツの誘いを受けてEUに加盟するのしないのでもめます(第一次大戦の同盟国のドイツとトルコは非常に親しい関係にあった)。結局のところEUにトルコを加盟させるつもりはないんじゃないか、という結論になってしまうのですが、以前はトルコがEUに加盟するかも、というくらいEUの距離が近かった時代があった訳です。今では考えられませんが。

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エルドアン氏の登場でトルコのイスラム世俗主義が転機を迎える

一時はEU加盟の話まで出るほどに親欧米路線を進んだトルコ政府ですが、いつまでたってもEU加盟の道筋は見えず、国民の間にイライラが募ります。

そんな中で登場したのがエルドアン氏、現大統領です(以下、大統領とします)。エルドアン大統領は政界進出から一貫してイスラム主義を訴えます。イスラム主義といっても、過激派ではなく、欧米化してしまった生活ルールをイスラムに戻す、そんなイメージですが。ただしトルコ近代化を成し遂げた世俗主義とは相容れない政策で、政界進出当初は既存政党勢力や世俗主義の守護人を任じる軍から激しい抵抗を受けます。

しかしトルコも民主主義国家です。トルコの景気が上向くにつれエルドアン大統領の人気も上昇し、特に世俗主義には馴染めない地方でのエルドアン人気は高く、遂には大統領の座にまで上り詰めます。

管理人、エルドアン氏の首相の頃からニュースで気にして見てますが、近代トルコでまさかエルドアン氏が大統領にまで上り詰めるとは全く予想していませんでした。

エルドアン大統領は豪腕ながら折り合える部分は折り合える政治家的な側面もあり、だからこそ大統領にまで上り詰められた部分があります。しかしながらイスラム主義を唱えるエルドアン大統領に対し、世俗主義の守護人を自認する軍は危機感を抱き、遂にはクーデター発生か?、という事態にまで至ります。

結局、クーデーターは未遂に終わるのですが、クーデター未遂により軍は完全にエルドアン大統領に首根っこを抑えられることになります。そして軍の信頼が失墜する中で、エルドアン大統領はケマル・アタテュルク以来例のない強力な権力を持った大統領となり、現在に至っています。

エルドアン大統領の下で歴史に逆行しているトルコ政府

金融屋的な観点では、トルコはエルドアン大統領の下でイスラム色を強くしており欧米型民主主義から逆行している状態です。

中世はイスラム国がヨーロッパより先進国だったので、別にイスラムが後進国という訳ではありませんが、イスラム世俗主義の下で欧米化しつつあったトルコから見ると後退の感は否めません。

現在は独裁権力を持ったエルドアン大統領がやりたい放題、という状態でもあり、そんな国の通貨=トルコリラは買えるのか、という根本的な問題が生じます、コノ視点はトルコリラ投資するなら必ず持っておきたい視点です。

トルコの政策金利は24.0%です。高くても数%の先進国に比べても、24.0%という政策金利は高すぎます。それだけトルコ政府及びトルコリラはリスクの高い状態にある、という点は理解する必要があります。

不動産バブル崩壊でエルドアン大統領への支持も下落気味

エルドアン大統領の権力掌握過程は、トルコ経済拡大の過程と重なる部分があります。経済的な発展という背景があったからこそ、トルコ国民はエルドアン大統領を支持した面が少なからずあります。

しかしトルコでは近年不動産バブルがはじけ、経済的には非常に厳しい状態にあります。そして経済の悪化とともに、エルドアン大統領への支持も低下中。実際に4月に行われた選挙では、大都市でエルドアン大統領の与党が敗北しています。

エルドアン大統領が独裁的な権限があるといっても、選挙が行われているあたりは、他のイスラム国家に比べ一歩先行くトルコな訳ですが(実はイランもイスラム国家ながら、国政選挙が行われています)、エルドアン大統領といえども手をこまねいていればいつまでも権力の座にいられる保障はありません。

だから逆に経済的には国民向けのパフォーマンスで無茶な政策をやりかねないリスクがあります。しかし磐石かに見られたエルドアン体制も、今後どこかのタイミングで行き詰る可能性も当然あります。


・長期的には下落トレンドのトルコリラ/円(週足チャート)

まとめ、壮大な社会実験の最中のトルコ

第一次世界大戦後、一貫して堅持していたイスラム世俗主義からイスラム主義への回帰を目指しているのがエルドアン政権です。歴史の逆コースをたどっている訳で、壮大な社会実験をトルコは行っている状態です。

欧米的なモノの考え方や進め方が万能とは決して言えませんが、国際的なルールは欧米中心の考え方の下で作成されているのも現実です。

上記を知ったところで、短期のトルコリラ投資のパフォーマンスに大きな影響はありませんが、不安定な国の通貨に投資をしようとしている、という認識は得られるのでは?ついでに言うと、現在トルコは同盟国のアメリカとの関係がギクシャクしており(ロシア製のミサイルシステム導入計画にアメリカが激怒してます)、その面からもリスクを考える必要があります。アメリカの同盟国がアメリカとケンカしてもロクなことにはなりません。

トルコリラに投資するということは、政策金利24.0%という尋常な金利ではない国の通貨に投資する、ということに他なりません。そして政策金利24.0%の背景は上記で説明したように、経済面のみならず社会的な不安定要素をトルコという国は持っているということです。

よって高金利といっても投資可能資金の全額をトルコリラに突っ込むのはやめておきましょー、言いたいのはココです。

基本的には投資可能資金の一部で、尚且つ無くなってもいいと思える金額の範囲で行うべきと考えます。何が起こるか分からないトルコ政府、トルコリラへの投資は投資金額忘れる気絶投資でスワップ金利収入のみ考える、そんな感じがよいのではないかな、と思います。

決してトルコリラに全力投球してはいけない!

トルコの現在を知ることで、まずは上記を認識して、トルコリラの投資を行うべきではないでしょうか。

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