FXトレードで経済指標と言えば、一気に相場が動く要注意事項。中でも米国の雇用統計が有名で、雇用統計の日時を知らずにFXトレードを行うのは、自ら相場の鴨葱状態になるのと一緒。さすがに雇用統計は殆どの方が意識をされているのではないかと。
けど雇用統計程ではありませんが、案外重要なのは米国小売売上高。普段は事前の予想と公表値に乖離が無ければ、それ程波乱はありませんが、乖離があると、一気に相場が動くことも。丁度8月12日(金)の米国小売売上高の発表によって、相場が大きく動いたので、その日を例にとり、米国小売売上高と相場の関係を見てみます。
概要
米国小売売上高とは
米国はGDPに占める個人消費の割合が60~70%になっており、簡単に言えば米国の景気=個人がどれだけモノを買っているか、ということで表すことができます。個人が消費をするのであれば、その前に働いている人が多くなければ収入が発生しないため、そもそも消費はできません。よって米国の経済指標、毎月第一金曜の夏時間21時30分、冬時間22時30分に発表される雇用統計は非常に重要視されています。(相当ザックリとした説明です)
そして、米国人がどれだけモノを買っているのか、ということが分かる指標が、小売売上高。消費者がモノを買えば、小売業の売上は上がる、まぁそう言うことです。そしてこの「米国小売売上高」という指標、雇用統計程ではありませんが、事前の予想数値と公表値に乖離が発生すると、大きく相場を動かすことがあります。よってFXトレーダーとしては米国小売売上高の発表日及びその数字は押さえておきたい所。
雇用統計は殆どの方は意識していますが、小売売上高はそれ程意識している方は多くありませんが、少なくとも発表日は知っておきましょー。
指標発表日時を調べる際、管理人は最近「かるFX」を利用しています。
[blogcard url=”http://saredo-fx.com/kawasenews/karufx/”]
米国小売売上高の発表日
・発表日 毎月第2週
・発表時間 夏時間21:30、冬時間22:30
簡単に言えば、雇用統計のあった翌週に小売売上高の発表があります。
正確な日付はその都度、「かるFX」や指標サイトをご覧になってください。そして発表時間は、夏時間21:30、冬時間22:30。雇用統計の発表時間と一緒です。
小売売上高の数字自体は、足元の数字に一喜一憂する必要はなく、その数字のトレンドを追いかけていくことがファンダメンタルズ分析の観点では大切ですが、トレードという観点では、事前の予想数字と発表値の乖離がポイント。予想数字に近い数字が発表されれば、相場はそれ程動きませんが、数字に乖離が発生していると、相場は大きく動くことがあります。
大きく動かないと、知らない間に発表が終わっていた、ということもある小売売上高ですが、少なくとも発表日時は押さえておくべき指標と言えます。ダメですよ、相場が急に動いて、理由を調べたら小売売上高の発表があった、ということに後で気付いた、なんてことでは。
2016年8月12日(金)の米国小売売上高の発表
多くのトレーダーがお休みモードに入っていた、8月12日(金)に米国小売売上高の発表がありました。
事前予想+0.4%-結果+0.0%
(除自動車:事前予想+0.1%-結果▲0.3%)
堅調と見られる米国経済を背景に小売売上高も数字の増加が見込まれていましたが、結果的には前月比横ばい、そして自動車を除くと▲0.3%と減少。米国の消費は意外に伸びていない=経済は伸び悩んでいる可能性を示唆する数字となりました。
前述していますが、小売売上高の数字はその数字のトレンドを見ることが大切であり、足元の数字に一喜一憂する必要は本来ありませんが、気の早い相場は話は別。為替市場は、予想値と実績値の乖離にいち早く反応しました。
https://www.tradingview.com/x/jL3nTtaM/
※チャート画像はTrading Viewを利用、以下同様
USDJPYはキレイに約1円下落する結果となりました。実は目先ではそれまで上昇トレンド入りか?、とも思えたUSDJPYでしたが、何のことはないただ元のトレンドの方向に指標発表を契機に戻りましたとさ、という状況になっています。
指標発表の値動きは、値動きを加速させるのがその値動きの特徴、と言われますが、大きな枠でのトレンドを把握していた方にとっては、今回の米国小売売上の発表前は絶好の売り場だった、という結果になっています。
2016年8月12日(金)の米国小売売上高時のUSDJPYの相場状況
米国小売売上高の発表を契機に、本来の方向に進む結果となったUSDJPY。その時点でどんな相場状況だったのかを振り返ってみます。まずはUSDJPYの日足チャートから。
https://www.tradingview.com/x/hTUxt2nk/
Zigzag的にチャート上にラインを引いてみましたが、日足を見るとUSDJPYは完全に下落トレンドになっています。下落トレンドの中でのレンジ相場状態、という状態ですね。
次に4時間チャート。
https://www.tradingview.com/x/w4HnmYyU/
4時間足チャートで見ると、USDJPYはフィボナッチリトレースメント88.6%で反転を繰り返していた状況。ただし跳ね返ってはいたものの、徐々に上値は切り下がっており、日足の状況から考えると、いずれ下に再度動き出しそう、という状況ではありました。
そしして長い陰線が米国小売売上高。ただし、まだリトレースメント88.6%は割れていません。足元は8月のお休みモード相場なので、ここから先、88.6%の100.80円付近を下に割れて大ブレイク、というのも考えにくいのですが、流れを考えると、どこかのタイミングで下に割れそうな、すると1ドル100円割れが現実化するかもしれず・・・。
ともあれ、今回の米国小売売上高の発表、確かに大きく相場は動きましたが、理論的には元々下に行きたがっていた相場が、小売売上高の発表を契機に動いただけ、とも言える状況になっています。
まぁ、後講釈と言われればそれまでですが、「後講釈=答え合わせ」をするのも大切、と思ってます。後講釈が出来なければ、答え合わせもできませんので。後講釈も繰り返すことができれば、相場の分析力、分析力でなければ説明力は上がります。
まとめ、米国小売売上高にはご注意を
確かに米国雇用統計程の重要度はありませんが、少なくとも米国小売売上高の発表日時は押さえておきたいもの。流石に指標発表で100pips程度動くのであれば、無視はできません。確かに事前の予想と実績値と乖離が無くて、それ程動かない時も多いのですが、動くときのパンチ力は上記で示した通りとなりますので。
スキャルピングやデイトレスタイルでFXトレードに臨もうとしている方は、ホントお忘れなく。指標は気にし始めると、それこそニューヨーク時間はトレードできなくなってしまいますが、米国小売売上高はお忘れなく。
重要指標の前はポジションを決済してノー・ポジションで指標を迎える、というのが王道スタイルであり、管理人もそのスタイルをオススメします(スイングの場合はケースバイケース)。ただし大きな相場の流れを読み切ることができれば、実は指標発表はチャンスとなりえる、という事例も今回の米国小売売上高の発表は示すこととなりました。ただし、コレはホント上級トレーダー向け。
雇用統計に比べればマイナーな小売売上高ですが、FXトレードの際は外すことのできない指標と言えます。毎月雇用統計の翌週の小売売上高の発表日時、必ず押さえた上でFXのトレードに臨みたいものです。
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